ピックルボールの「UPA」とは何か?

UPAとは「United Pickleball Association(ユナイテッド・ピックルボール・アソシエーション)」の略で、アメリカにおけるピックルボールの新しい主要団体です。
2024年初頭、プロピックルボール界で大きな動きがありました。
プロ個人戦ツアーのPPA (Professional Pickleball Association)と、チーム対抗戦リーグのMLP (Major League Pickleball)が統合し、その親会社・統括団体としてUPAが誕生したのです。
簡単に言えば、UPAはPPAツアーとMLPを束ねる新組織で、ピックルボール界におけるルール作りや大会運営の新たな枠組みを担っています。




UPAの設立時期
UPAが正式に設立されたのは2024年です。
特に2024年2月にPPAとMLPの合併交渉がまとまり、3月末に新団体名としてUPA(United Pickleball Association)が発表されました。
それまでピックルボールの競技ルールや用品規格は主にUSAピックルボール(USAP)という団体が取り仕切ってきましたが、プロの大会シーンではこの合併によりUPAが台頭してきた形です。



言わばUPAはプロピックルボール界の“新勢力”であり、伝統あるUSAピックルボールに対して革新的なアプローチを打ち出しています。


UPAの代表者
UPAの代表的な人物としてまず名前が挙がるのが、コナー・パルドー(Connor Pardoe)氏です。



コナーパルドーさんはPPAツアーの創設者であり、UPA発足の立役者となった人物です。
パルドー氏はUPAのCEO(最高経営責任者)を務めており、「UPAをピックルボール界の“ゴールドスタンダード”にしたい」と表明しています。
また、ジェイソン・アスペス(Jason Aspes)氏もUPAのキーパーソンです。
アスペス氏はUPA of America (UPA-A)と呼ばれるUPAの米国部門のプレジデント(代表)であり、UPAの取り組みについてメディアにて積極的に発信しています。
このように、UPAはPPA創設者の経営手腕と新進気鋭のリーダーによって運営されている新団体なのです。


ピックルボールのUPA認証パドルとは?
ピックルボールのUPA認証パドルとは、UPAが定めた基準を満たし公式に認証されたピックルボール用ラケット(パドル)のことです。
これは簡単に言えば、「大会で使うパドルは、公平な競技のため一定の基準をクリアしたものでなければならない」という認証制度です。
特にプロレベルの試合で選手の実力がパドルの性能差で左右されすぎないよう、UPAが新たなテスト項目や基準を設けています。
UPA認証パドルでチェックされる主なポイント
- 反発力(パワー) – ボールがパドルから飛び出す速度(Exit Velocity)が極端に速すぎないか
 - 回転性能(スピン) – ボールに与えられるスピン量(RPM)が過度にならないか
 - 打球音 – インパクト時の音が極端に小さく無音に近くないか(※無音パドルは相手に音の手がかりを与えず不公平になるため)
 
UPAではこれらのパフォーマンス重視の試験を導入し、従来の素材や表面の粗さだけを見る基準から大きく踏み出しました。
たとえばスピン性能については、「どんな角度で打っても回転数が2200RPMを超えてはいけない」という具体的な上限値が設定されています。
またパドルの反発力に関しても、パドル両面の平均たわみ強度(ADF値)が46ポンド以上であることを合格基準としています。
これらのテストでは新品状態だけでなく、使用による劣化(摩耗)も考慮して破壊的試験(耐久試験)を行い、使っていくうちに性能が上がりすぎないかまでチェックします。



なるほど。要するに、UPA認証パドル=「飛びすぎない・曲がりすぎない・静かすぎない」公平なパドルというわけですね💡
UPA認証パドルの連携機関とは?Pickle Pro Labs?
さらにUPAは、この新しい認証プログラムを業界団体や研究機関と協力して進めています。
独立系のテスト機関Pickle Pro Labsや、野球のバット試験などで実績のあるマサチューセッツ大学ローウェル校と提携し、「ピックルボール史上最も高度で厳格なテスト体制」を目指すと発表しています。
また、認証を取得したパドルについては市販品と提出品が同じ性能であることを保証する仕組みも導入されており、認証後も継続的な監視プログラムで品質を担保しています。
どんなメーカーのパドルがUPA認証を受けている?



具体的に、どんなメーカーのパドルがUPA認証を受けているの?
UPAは発足に伴いパドルメーカーの諮問委員会を設置し、主要ブランド各社と連携して基準策定を行いました。
委員会に名を連ねる主なメーカーは以下の通りです。
これらはいずれもアメリカの人気トップブランドで、プロ選手にも使用者が多いパドルメーカーです。
さらにUPAはこの委員会に、VolairやACE、Six Zeroといった新興・独立系のブランド代表者も追加招集し、幅広い視点を取り入れる努力もしています。



認証基準の策定段階からメーカーと協力することで、現実的かつ公正なルール作りを目指しているのですね💡


UPA認証を取得するためには費用がかかる?
なお、UPA認証の取得にはメーカー側に費用負担が発生します。
たとえば2025年度の場合、各メーカーは年会費として2万ドル、個々のパドルごとに申請料2000ドル(24か月有効)を支払う必要があります。
こうした費用面もあり、「小規模ブランドにはハードルが高いのでは?」という声もあります。
しかしUPA側は「認証取得は簡単な決断であってはならない。我々が目指す最高水準のパドルを本気で作ろうというブランドだけが挑戦するようになるだろう」というようなことを述べており、むしろ参入障壁を設けることで本当に革新的なメーカーを絞り込む意図もあるようです。
UPA認証パドルのロゴスタンプも用意されており、認証に合格した製品には公式にその印が付けられることで、一目で公認パドルと分かるようになります。
UPA認証パドルを購入するべき?重要度を解説
では、大会に出場するプレイヤーにとってUPA認証パドルはどれほど重要なのでしょうか?
結論から言えば、大会の主催団体次第で重要度が変わります。
もしあなたが参加する大会がUPA傘下の大会(例: PPAツアーの大会やMLPのイベント)であれば、使用するパドルはUPA認証を取得したモデルにした方がいいです。
つまり、UPA主催の公式戦に出る以上、自分のパドルがその認証リストに載っていないと試合で使えない可能性が高いのです。



特にプロを目指す選手にとって、自分の愛用パドルが基準を満たしているか事前に確認しておくことが非常に重要になります。
一方、アマチュア向けの大会や他団体(例えば伝統的なUSA Pickleball主催の大会や、別のプロツアーであるAPPなど)の場合は、依然としてUSA Pickleballの承認パドルリストが採用されているケースも多いです。
UPAもアマチュア領域ではしばらくUSAP認証を受け入れる姿勢を示しており、2025年時点では「アマチュアはUSA Pickleballの認証パドルであればUPA大会でも使用可能」という移行措置が取られています。
しかし今後プロシーンを中心にUPA認証が主流になっていけば、いずれアマチュア大会にも波及していく可能性があります。
いずれにせよ大会にエントリーする際には、その大会がどの団体のルールを採用しているかを確認し、自分のパドルが適合しているかチェックすることが大切です。




最後に
ピックルボール競技は今まさに急速な進化を遂げています。
新しい団体UPAの登場やパドル規制の強化によって、競技環境はより公平でハイレベルなものへとアップデートされつつあります。
初心者の方にとっては「UPAって何?パドルの認証?」と少し難しく感じられるかもしれませんが、基本的なところは押さえておきましょう。



UPA=プロ大会を仕切る新しい協会、そしてUPA認証パドル=公平なプレーのためのお墨付きパドルというイメージです!



大会に出場する際は、自分の使うパドルが大会のルールに適合しているかを確認し、安心してプレーに臨んでください♪



