USA Pickleball(USAP)とは?
USA Pickleball(ユーエスエーピックルボール、略称USAP)は、アメリカ合衆国におけるピックルボール競技の全国統括団体です。
ピックルボールの公式ルール策定や大会の認可を行う組織で、いわば「ピックルボール界のアメリカ代表の協会」と言えます。

USA Pickleball(USAP)の設立時期
USA Pickleballの前身である「全米アマチュアピックルボール協会(USAPA)」は1984年に設立されました。
1984年当時、ワシントン州タコマにて数名の熱心なピックルボール愛好者(ブライオン・オルソン氏やシド・ウィリアムズ氏など)によって創立されたのが始まりです。
その後、2005年に非営利組織として再編され、2020年に現在の名称「USA Pickleball」に改称されています。

設立からすでに40年近く経つ歴史ある団体で、初期の1980年代から公式ルールブックの発行や競技の普及に努めてきました。


USA Pickleball(USAP)の代表者
現在、USA Pickleballの最高責任者(CEO)を務めているのはマイク・ニアリー(Mike Nealy)氏です。
マイクニアリー氏は2023年にCEOに就任しており、以前はスポーツ業界で長年の経験を持つ経営者でした。
このようにUSA Pickleballは明確なリーダーシップのもと運営されており、全米で急成長するピックルボール競技を支える役割を果たしています。


USA Pickleball(USAP)認証パドルとは?
USAP認証パドル(USAP公認パドル)とは、USA Pickleball(USAP)の定める公式規格・基準を満たし、同協会によって「承認済み(Approved)」と認められたピックルボールパドルのことです。
簡単に言えば「USA Pickleballのお墨付きがあるパドル」であり、この認証を取得したパドルは公式大会を含む競技試合で使用可能となります。



USAP認証はパドル自体の性能評価というより、「競技ルール上で問題のない道具である」という適合証明のようなものです。



初心者の方が商品説明などで「USAP公認」「USAPA承認」と書かれているのを目にしたら、それは「そのパドルは公式試合で使えるルール適合品ですよ」という意味だと捉えてください。
USAP認証パドルの基準と取得方法
USA Pickleball(USAP)では、公平なプレー環境を守るためパドルの詳細な規格基準を定めています。
メーカー各社は新しいパドルを発売する際、この協会の装備評価委員会(Equipment Evaluation Committee, EEC)に試作品を提出してテストを受ける必要があります。
では、具体的にどんな基準を満たす必要があるのでしょうか?主なポイントをいくつか挙げてみます。
- サイズ(大きさ):パドルの「縦+横の長さ」は24インチ(約61cm)以内と定められています(※長さ単体は17インチ以内)。極端に大きなパドルは禁止というわけです。
 - 表面の性質:ボールに過度なスピン(回転)を与えるようなザラザラしすぎた表面や、穴あき・突起のある面は認められません。要するに「ツルツルしすぎずザラザラしすぎず」適度な表面である必要があります。相手プレーヤーの視界を妨げるような反射素材も不可です。
 - 厚み・重さ:意外かもしれませんが、パドルの厚みや重さには明確な制限がありません。「厚すぎる・重すぎる」は規則違反にはならないものの、その範囲で各社が工夫して性能を調整しています。
 
他にも「表面に貼り付けてよいテープやステッカーの範囲」「バネのような弾みを生む構造は禁止」といった細かな規定があります。
総じて、選手の腕前以上に道具の力で有利・不利が生まれないように細かな取り決めがされているのです。


USAP認証パドルの見分け方と例
自分の持っている(あるいは購入を検討している)パドルがUSAP認証かどうかを知る方法も押さえておきましょう。
認証を受けたパドルは公式の承認リストに掲載されます。



多くの場合パドル本体やパッケージに「USA Pickleball Approved」(USA Pickleball承認済)といったマークやテキストが表示されています。



パドルの表面やグリップ下部に小さく記載されていることが多いのでチェックしてみてください。
どのメーカーのパドルがUSAP認証を取得している?
では実際に、どんなメーカーや製品がUSAP認証を取得しているのでしょうか?
結論、現在市販されている主要ブランドのパドルの大半はUSAP認証済みと考えて差し支えありません。
例えば、競技志向のプレーヤーに人気のEngageやSelkirk、多くのプロ選手も使用するJOOLA、老舗のPaddletek、さらにはHEADやWilson、Franklinといった大手スポーツメーカーまで、多岐にわたるブランドのパドルが公式に承認されています。



価格帯も初心者向けのエントリーモデルからプロ仕様モデルまで幅広くカバーされています。



要するに「有名どころのパドルはだいたい承認されている」と思ってもらって大丈夫です。


公式大会とUSAP認証パドルの関係
USAP認証パドルが本領を発揮するのは、何と言っても公式ルールに則った試合の場です。
USA Pickleballの競技規則では、「USA Pickleball承認パドル以外は公式戦で使用できない」と定められています。
具体的には、USA Pickleballルールに基づいて行われるすべての大会や試合では承認パドルの使用が必須です。
地域のオープントーナメントから全国大会に至るまで、USAPが関与・公認する競技会では例外なくチェックが行われます。
では、公式でないローカル大会やレクリエーションマッチではどうでしょうか。
厳密には非公認のイベントでは主催者の判断で使用パドルが決められますが、USA Pickleball自体はカジュアルなゲームであっても承認パドルを使うことを推奨しています。
これは「どんな場でも公平性を保ち、将来的に公式戦に出る際もスムーズに移行できるようにするため」と言えるでしょう。



実際、多くの競技者は日頃の練習や遊びの試合でも公式ルール適合のパドルを使用しています。



その方が感覚の差異が出にくく安心だからです。
日本の公式大会(JPA主催大会、PJF主催大会)では、USAP認証パドルだけでなくUPA認証パドルも認められています。




最後に
ピックルボール初心者の方にとって「USAP」と「USAP認証パドル」という用語は最初は紛らわしいかもしれません。
しかしUSAPは団体名、USAP認証パドルはその団体のお墨付き用具と理解できればスッキリします。



現在市販されているパドルの多くはUSAP認証済みです。



予算やデザインなど他の条件で選んだパドルがたまたま非承認だった、というケースのほうがレアでしょう。



それでも購入前に念のため確認したいときは、メーカー公式サイトや商品説明で「USAP Approved」の記載をチェックするか、USA Pickleballの承認リストで型番を検索してみてください。



