ピックルボールの日本ランキング事情を解説

ピックルボールの日本ランキングと子猫
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正式なピックルボールの日本ランキングとは?

日本国内でピックルボールのランキングを発表している団体は、主に 日本ピックルボール協会(JPA)ピックルボール日本連盟(PJF) の2つがあります。

実は現在、「正式な日本ランキング」と言っても単一のものがあるわけではなく、この二つの団体がそれぞれ独自にランキングを公開しています。

JPAは国際組織「GPF(世界ピックルボール連盟)」にも加盟している公式団体で、国内選手の競技力向上や日本代表選手の選考を担っています。

一方、PJFはプロ大会の開催や国際交流に力を入れる団体で、海外のトッププロ招致や大規模大会の運営などを通じてピックルボールの普及を目指しています。

両者のランキングは位置づけも背景も少し異なります。

JPAのランキングは、自団体主催の公認大会での成績に基づいて算出されるもので、いわば「公式な国内ランキング」という位置づけです。

例えば、JPAでは今年度から日本代表選考のためのポイント制度を導入し、対象大会の結果によるポイント累計で順位表を公開しています。

このランキング上位者(男子ダブルス・女子ダブルス各12組)は代表選考の最終大会に進める仕組みになっており、まさに日本代表決定に直結する重要な意味を持っています。

一方でPJFのランキングは、厳密にはJPAのようなポイント制ランキング表というよりも、PJF主催大会の結果やプロ選手の活躍実績によって示されるものです。

PJFは2024年に設立された比較的新しい団体で、2024年末には有明で世界各国から700名規模が参加する国際大会「PJFピックルボールチャンピオンシップス2024」を開催するなど、グローバルな大会運営が特徴です。

そのためPJFでは、自団体内だけの順位付けよりも世界基準で選手の実力を可視化することに重きを置いており、海外プロツアーのランキングや国際大会での成績も踏まえて国内トップ選手を位置づけています。

例えば、PJFの公式サイトでは「PJF公認プロ選手」のページで各選手のPPA世界ランキングやJPA大会の優勝歴まで掲載しており、国内外での実績を総合的に紹介しています。

ピックルボールの日本ランキングの種類

現在、日本には大きく3種類のランキング指標が存在します。

それが 「JPAのランキング」「PJFのランキング」「DUPRのランキング」 です。

それぞれ評価方法や特徴が異なりますので、順番に見ていきましょう。

JPAのランキング

JPAが管轄する公式ランキングです。

JPA主催または公認の国内大会に出場し好成績を収めると、所定のポイントが与えられます。

このポイントは1年間を通じて累積され、各選手やペアの年間ランキングが決まります。

ランキング大会での優勝・入賞で高得点を得られる仕組みで、テニスのATPランキングのように大会グレードによるポイント差もあるようです(※大会要項によってポイント配分が決まります)。

JPAランキングは週次や月次で更新され、登録選手であれば誰でもランクインのチャンスがあります。

特に日本代表選考にこのランキングが活用されており、代表候補の暫定順位表も発表されています。

要するに、JPAランキングは日本国内公式戦での実績を数値化したもので、「公式な日本一」を決める指標と言えます。

PJFのランキング

PJFにはJPAのような明確なポイント制度はありませんが、代わりにリーグ戦形式の大会やプロ認定制度があります。

2024年には賞金制の「ピックルボールジャパンリーグ(PJL)」が発足し、ドラフトで選ばれたチーム同士が戦うプロリーグが始動しました。

このリーグ戦や年間チャンピオンシップの結果によって、事実上の国内トップ選手が決まります。

PJFは選手の世界での活躍にも着目しており、独自に「PJF公認プロ」としてトップ選手を認定しています。

PJF公認プロには、国内大会の成績だけでなく海外ツアーへの参戦状況や世界ランキングも考慮されるのが特徴です。

さらにPJFは評価方法として国際標準のレーティングシステムも積極的に導入しています。

例えば2025年にはUTR(ユニバーサル・テニス・レーティング)と提携し、国内でUTR方式のピックルボールツアーを開催すると発表しました。

UTRは選手の実力を0~16のスコアで数値化する世界標準の指標で、これにより日本にいながら世界のプレーヤーと自分の実力を比較できるようになります。

つまりPJFのランキングは、国内リーグ戦績+国際レーティングを組み合わせた 「ハイブリッド型の評価体系」 と言えるでしょう。

国内大会で強いだけでなく、世界水準でどの程度通用するかも重視される点が特徴です。

DUPRのランキング

近年、日本のピックルボール界で急速に存在感を増しているのが DUPR(Dynamic Universal Pickleball Rating)です。

DUPRは世界共通のピックルボール・レーティングシステムで、試合の勝敗やスコア差をもとにプレーヤーの実力を小数点付きの数値で評価します。

アメリカをはじめ主要国で導入が進んでおり、日本でも2023年頃から浸透してきました📈

特徴は国籍や所属団体に関係なく全世界のプレーヤーを同一基準でランク付けできる点です。

実際、2025年5月にはDUPRに基づく日本国内ダブルスの最新ランキング(男女別)が発表され、日本人選手の実力水準が数値で示されました。

このランキングはDUPRの信頼性スコア(試合数などによる指標)が80%以上の選手に限って算出されたもので、日本における競技レベルの客観的な指標として注目を集めています。

評価方法はシンプルで、強い相手に勝てば自分のDUPR値が上がり、格下に負ければ下がるというように、対戦結果がダイレクトに数値へ反映されます。

DUPRはシングルス/ダブルス/ミックスなど種目ごとにレーティングが算出されますが、国内ランキングとして話題になるのは主にダブルス部門です。

ランキング表ではトップ選手のDUPR値と名前が一覧になり、自分が国内で何位相当かを把握することもできます。

将来的にこのDUPRが日本代表選考や強化の新たな基準になる可能性も指摘されており、今後ますます重要度を増す評価軸と言えそうです。

以上のように、JPAはポイント制の公式ランキング、PJFは大会結果と国際実績を踏まえたランキング的な位置づけ、DUPRは世界標準のレーティングによるランキングと、それぞれ特徴が異なります。

それぞれの長所を生かして選手のモチベーション向上や競技力可視化に役立てようという動きが、日本のピックルボール界で進んでいます。

ピックルボールの日本ランキングと世界ランキングを比較

では、日本国内のランキングと世界レベルのランキングにはどんな相関性や違いがあるのでしょうか?

ここでは、主に先述のDUPRによる世界ランキングを軸に、日本人選手の位置づけを見てみます。

DUPRは世界共通指標なので、日本人トップ選手が世界の中でどの程度のレベルかが数値で比較可能

結論から言うと、日本国内トップクラスと世界トップクラスではまだ数値に開きがあるのが現状です。

例えば、2025年5月時点で日本男子ダブルスDUPRランキング1位の ダニエル・ムーア選手 はレーティング5.722でした。

同じく2位船水颯人選手5.721、3位三好健太選手5.533と、国内では5前後のDUPR値がトップ層です。

一方、世界の男子プロを見てみると、DUPRランキング1位の ベン・ジョーンズ はなんと 7.328 という驚異的な数値を記録しています。

トップ5に入る選手はいずれも7前後(少なくとも6.8以上)をマークしており、日本トップとの差は約1.5~2ポイントにもなります。

この差は競技レベルの差と言い換えることもでき、現状ではアメリカを中心としたトッププロがDUPR値では圧倒的に上位を独占している状況です。

参考:DUPR RANKINGS

女子に関しても、国内1位の吉冨愛子選手がDUPR値5台前半なのに対し、世界トップクラスの女性プロはDUPR値6台以上が平均です。

このように純粋な数値だけ比較すると、日本勢はまだ世界のトップ10には届いていないのが実情です。

ピックルボールの国内ランキングと世界ランキングの差異

しかし一方で、国内ランキングと世界ランキングの差異も存在します。

それは「国際大会への露出度」が影響する点です。

DUPR値は強豪との対戦経験がものを言うため、海外のトッププロと対戦する機会が多いほど上がりやすい傾向があります。

日本国内だけで戦っている選手の場合、どうしても対戦相手のDUPR値(レベル)が限られるため、自分の数値も頭打ちになりがちです。

例えば、日本の大会では無敵でも海外勢との試合経験が少ない選手は、DUPR上はそこまで突出した数字にならない場合があります。

日本国内ランキングでトップに立つピックルボール選手たちは、これから経験を積んでDUPR値や世界ランキングを上げていく段階です。

日本のトップ選手が世界ランキングに顔を出し始めたことは事実であり、国内ランキング上位=日本代表クラスの選手たちが、少しずつ国際舞台でも順位を上げている傾向が出てきています。

今後、JPAとPJF双方の取り組み(国内強化と国際経験の促進)が実を結べば、国内ランキング上位者が世界ランキングでも上位進出…なんて日も遠くないかもしれませんね。

最後に

ピックルボールの日本ランキングについて、JPAとPJFそれぞれの視点、そして世界基準でのDUPRという三つの軸からご紹介しました。

ピックルボールは老若男女誰でも楽しめるスポーツであり、日本でも競技人口が急増中です。

「ランキングなんて自分には関係ないかな?」と思う初心者の方も、遊び感覚でDUPRに試合結果を登録してみれば上達度合いが数字で見えたりして、練習のモチベーションになりますよ♪

日本のピックルボールシーンはまだ始まったばかり。

ランキングの仕組みもこれからさらに整備され、充実していくでしょう。

ぜひ気軽にピックルボールをプレーして、観て、そしてランキングにも注目しながら、この新しいスポーツの盛り上がりを一緒に楽しんでみてくださいね!

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