GPR(グローバルピックルボールランキング)とは?ピックルボールの世界ランキング?

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GPR(グローバルピックルボールランキング)とは何か?

GPR(Global Pickleball Ranking)は、ピックルボールの世界中のプレーヤーを対象とした世界ランキングシステムです。

簡単に言うと、「世界中の大会結果をまとめて算出されるピックルボール版の世界ランキング」だと思ってください。

もともとピックルボールにはテニスのような公式の世界ランキングが存在せず、各団体ごとにバラバラのランキングやレーティングが乱立していました。

そこで「どのくらい強いのかを客観的に知りたい」「世界で自分が何位か知りたい」というニーズに応えるために、このGPRが作られたようです。

GPRのモットーは「Every Match Counts(すべての試合がカウントされる)」で、世界各地の大会結果を集計してポイント化し、誰でも無料で自分の世界ランキングを取得できるサービスになっています。

ピックルボールの国際統括団体の一つである世界ピックルボール連盟(WPF)も2021年以降このランキングを公式に認めており、世界共通のランキングとして活用されています。

2025年に世界ピックルボール連盟(WPF)と国際ピックルボール連盟(IPF)が統合されUWPFに。

要するに、GPRは「ピックルボール版のATPランキング(テニス)や世界ランキング」だと考えるとわかりやすいでしょう。

GPRの運営会社と設立の背景(運営主体・設立時期・所在地・主要人物)

GPRを運営しているのは「ピックルボール・グローバル(Pickleball Global)」という民間企業です。

Pickleball Globalは2018年末から2019年頃に米国フロリダ州で設立された会社で、本社はフロリダ州のボニータスプリングス(ナポリ近郊)にあります(創業者のヤン・パピ氏が当時フロリダでテニスショップを営んでいました)。

主要人物は何と言っても創業者でCEOのヤン・パピ(Jan Papi)氏です。

チェコスロバキア出身のパピ氏は、長年テニスに関わる仕事をしていましたが、2012年にピックルボールに出会い、その魅力に着目しました。

ピックルボール界には当時まだ実力を数値化・順位化する仕組みがないことに気づいた彼は、「みんなが公平に競い合える指標を作ろう」と考え、2019年にGPRを開発

このGPRの成功をきっかけに、パピ氏は世界大会シリーズとなるワールド・ピックルボール・チャンピオンシップ(WPC)を創設し、各国・各地域での普及にも尽力しています。

2022年以降は拠点をアジア(インドネシアのバリ島)に移し、ピックルボールの国際展開を進めている情熱家です。

GPRとDUPRランキングの違い(算出方法・対象大会・信頼性・使われ方)

ピックルボール界にはGPRの他にも「DUPR(デューパー)と呼ばれる有名なレーティング/ランキングシステムがあります。

初心者には少し紛らわしいですが、GPRとDUPRは目的や算出方法が異なるため、それぞれ特徴を押さえておきましょう。

主な違いは以下のとおりです。

算出方法の違い

GPRが大会の成績に基づくポイント制ランキングであるのに対し、DUPRは対戦ごとの結果に基づくレーティング(実力数値)です。

GPRでは大会での順位や勝利数に応じてポイントが与えられ、その累積ポイント(直近1年の上位成績分)でランキングが決まります。

一方DUPRでは試合ごとの勝敗やスコア、対戦相手の強さまで考慮され、独自アルゴリズムで細かな数値レーティング(例:4.50や3.75といった値)が算出されます。

極端に言えば、GPRは「大会で沢山勝った人が上位になる累積ポイント制」で、DUPRは「強い相手に勝てば上がり弱い相手に負ければ下がる実力偏差値制」と言えます。

対象となる試合・大会

GPRは公式大会の結果を主な対象としています。

世界各国の大会(特にPickleball Globalが管轄する国際大会群やWPCシリーズ)での公式戦の成績が反映され、各選手の世界ランキングが決まります。

一方、DUPRは公式戦だけでなくエントリーした誰もが任意の対戦結果を記録可能で、日々の練習試合や地域のリーグ戦も含め、世界中のあらゆる試合結果がレーティング計算に利用できます。

そのためDUPRはプロからアマチュアまでユーザー数も多く、専用アプリで自分のスコアを登録すれば世界中のプレイヤーと数値を比較可能なオープンな仕組みです。

信頼性・精度の評価

GPRはポイント制の手軽さが魅力ですが、ポイント稼ぎのために大会出場数が多い選手が上位に来やすい側面があります。

例えば「世界最強の選手Aが年4大会しか出ていない場合」と「中堅選手Bが年12大会出てそこそこ入賞している場合」では、Bの方が累積ポイントで上回りランキング上位に来てしまうことも起こりえます。

一方DUPRは統計データに基づくアルゴリズムで細かく実力を反映するため、「勝った相手の強さ」や「負けた相手との力量差」まで数値に織り込まれます。

総合的に見て「個々の選手の実力をより正確に反映できる」のはDUPRと評価する声が多く、現状プロ団体やトップ選手もDUPRを標準として採用する動きがあります。

もっとも、DUPRも完璧ではなく「レーティングが上がりにくい/下がりにくい」などの課題も指摘されていますが、包括的かつ精度の高い指標として普及が進んでいます。

使われ方の違い

GPRは世界公式ランキングとしての位置づけが強く、「プロ/アマ含めた世界ランキング」という役割です。

特に国際大会やワールドチャンピオンシップではシード決定や年間王者の認定などにGPRが利用されます。

一方DUPRは選手個人のスキル判定指標として、例えば大会エントリー時のクラス分け(○○以下の部門に出場、など)や、練習相手探しのマッチング、チームリーグのドラフト指標など幅広く活用されています。

アメリカのプロリーグ「PPAツアー」も公式にDUPRを採用していますし、日本国内でも日本ピックルボール協会(JPA)が公式にDUPRの活用を推奨しています。

要するに、GPR=「世界大会で誰が一番かを決めるランキング」、DUPR=「個々の実力値を示すための世界共通ものさし」と考えると分かりやすいでしょう。

GPRランキングの仕組み(ポイント算出方法・更新頻度・対象大会・ランキング種類など)

それでは、GPRのランキングが具体的にどのように計算・運用されているかを見てみましょう。

テニスのATPランキングやゴルフの世界ランキングに近い方式ですが、ピックルボール独自の工夫もあります。

ポイントの算出方法

GPRでは大会での試合勝利や最終順位に応じてポイントが与えられます。

大会の規模は5段階の「ティア(格付け)」に分類されており、ローカル大会はティア1、地域大会がティア2、国内選手権がティア3、大陸大会がティア4、世界大会(WPCなど)がティア5という位置づけです。

ティアが高い大会ほど1試合あたりの勝利ポイントが高く設定され、さらに各種目で決勝に進出するとボーナスポイントが加算される仕組みになっています。

例えばティア5の世界大会で優勝すれば大きなポイントを獲得できますし、ティア1の小規模大会でも勝った試合数に応じて少しずつポイントを積み上げられます。

ランキングへの反映ルール

GPRランキングはローリング方式(直近○○期間の成績)で計算されます。

基本的には「直近52週間(約1年)での成績」が対象で、時間の経過とともに1年以上前のポイントは順次消えていきます。

また、全ての大会の合計ではなく各選手の「ベスト○大会分」のポイントだけがカウントされます。

成人カテゴリでは直近1年の最高ポイントを獲得した15大会分までを合計し、それがその選手のランキングポイントとなります(ジュニアカテゴリでは例外的に2年=104週間の期間でベスト15大会分を対象としています)。

この「ベスト15大会制」のおかげで、たとえ調子の悪かった大会があっても成績の良かった大会が優先されてランキングに反映されます。

言い換えると、負けてもポイントが減ることはなく(加算方式のみ)、良い成績を残した大会が多いほど有利という計算方式です。

ランキングの更新頻度

明確な更新タイミングは公表されていませんが、基本的には大会結果がPickleball Globalに報告・登録され次第リアルタイムで反映されていきます。

常に直近52週のデータで順位が計算されるため、各大会終了後に順位が入れ替わることになります。

年末などに「年間最終ランキング」が発表されることもありますが、これはあくまで便宜的なスナップショットで、GPR自体は常にローリングで動いていると考えてください。

対象となる大会の種類

前述のとおり、基本的に世界中の公式大会(各国協会主催大会やオープン大会、WPCシリーズ等)でPickleball Globalに結果が報告されたものはティア区分に応じてポイント化されます。

具体的には、各国の全国選手権や国際大会、WPC(世界選手権シリーズ)、大陸別大会などが主な対象です。

ランキングの種類(カテゴリ分け)

GPRでは細かなカテゴリ別にランキングが公開されています。

大きく分けて男性シングルス、男性ダブルス、女性シングルス、女性ダブルス、ミックスダブルスの各種目があります。

さらに特徴的なのは年齢別カテゴリーが設定されていることです。

一般のオープン部門(年齢無制限)の他に、年齢帯ごとのクラス(例:19+部門、35+部門、50+部門、シニアプロ部門など)でランキングが分かれています。

これは「年齢が離れた若者とシニアを同じ土俵で比較しても意味がない」という考えから導入されたもので、各年代の中での順位を知ることでモチベーションアップにつなげようという狙いがあります。

実際、ある60歳代の選手は「19+全体ではトップレベルでなくとも、60+カテゴリーでは自分は世界一になれるかもしれない」と励みにして競技を続けられるわけです。

GPRランキングではこのように種目別・年代別に細分化されたランキングリストが提供されており、自分と同じカテゴリーでのポジションを確認できるようになっています。

また、地域別の絞り込み機能もあり、世界全体だけでなく大陸別・国別・州別などローカルなランキングも閲覧可能です。

自分の住む国や地域で何位なのか、といった情報も簡単にチェックできます。

最後に

GPR(グローバルピックルボールランキング)とDUPRは対立するものではなく補完的な存在だという点にも触れておきます。

世界ランキングGPRで「世界一の称号」を目指しつつ、日々の練習や地域大会ではDUPRで腕前を測る——このように両方をうまく活用すれば、ピックルボールの楽しみがますます広がるでしょう。

楽しくプレーしながらランキングが上がっていく感覚は、きっと病みつきになりますよ!

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